「自分に合いそうな企業を教えて」「この会社の特徴は?」と、ChatGPTに聞いて企業研究を進めている人も多いのではないでしょうか。就職情報サイトを一社ずつ見るより早く、知らなかった企業に出会えるのは生成AIの大きな利点です。

一方で、AIの回答には社名の取り違えや古い情報が混ざることがあります。AIの説明をうのみにすると、本来なら自分に合っていた企業を候補から外してしまうかもしれません。

この記事では、ChatGPTが企業研究のどこで役立つのか、AIで企業を調べるときの落とし穴、AIの回答を確かめるための情報源と、上手に使うための手順を解説します。

📖目次

ChatGPTは企業研究のどこで役立つか

AIが最も力を発揮するのは、企業研究の入口です。希望する業界や働き方、勤務地などの条件を伝えると、自分では思いつかなかった企業名を挙げてくれます。

X-Ops社が2026年9月に、就活で生成AIを使ったことがある大学生・大学院生454名に行った調査では、72.0%がAIに希望条件を伝えて企業名を挙げてもらった経験があると答えました。AIに挙げてもらった企業を検索したり、それまで名前を知らなかった企業の説明会に参加したりと、AIが新しい企業との出会いのきっかけになっています。

業界の構造や、似た事業を行う企業の違いを大まかにつかむのにもAIは便利です。ただし、こうした使い方は「調べる範囲を広げる」ためのものです。企業の事業内容や数字を確かめるところまでAIに任せると、次に紹介する落とし穴にはまりやすくなります。

ChatGPTを使った企業研究の落とし穴

AIは企業を知る入口として便利ですが、企業研究の情報源としてそのまま使うにはいくつかの弱点があります。とくに注意したい4つの落とし穴を紹介します。

社名や数字、事業内容を間違えることがある

先ほどの調査では、61.7%の学生がAIの回答に事実と違う記述があると気づいた経験を持っていました。誤りの内容は、社名やグループ会社の取り違え、売上や従業員数などの数字、事業内容などです。

生成AIは、もっともらしい文章を作ることは得意ですが、内容が正しいかどうかを保証するものではありません。名前の似た企業や、同じグループの別会社の情報を混ぜて答えることもあります。AIの説明を読んで「自分に合わない」と感じた企業が、実は別の会社の説明だった可能性もあるのです。

情報が古いまま答えることがある

AIの回答は、学習した時点の情報や、検索で拾った古い記事をもとにしていることがあります。新卒採用では、初任給や募集職種、勤務地、選考の流れが毎年のように変わります。とくに初任給は多くの企業が毎年引き上げているため、AIが示した金額が前年度以前のものになっていることも珍しくありません。

待遇や選考の情報は、AIの回答ではなく、その年度の募集要項で確かめるのが基本です。社名の変更や合併、事業の売却なども、AIの回答に反映されていないことがあります。

1回の回答で企業の良し悪しを決めてしまう

AIの回答は、質問の仕方や会話の流れによって変わります。同じ質問をしても、聞き直すと違う企業が挙がったり、評価の順番が入れ替わったりします。根拠となる情報が示されていない限り、AIの比較や順位づけは一つの意見にすぎません。

それでも、AIの回答をきっかけに企業を候補から外す学生は少なくありません。同じ調査では、AIの回答をきっかけに応募を見送ったり選考を辞退したりした企業が1社でもある学生が52.0%いました。AIが他社と比べてその企業を低く評価していたことを理由に挙げた学生もいます。1回の回答で企業の優劣を決めてしまうのは避けましょう。

AIが挙げない企業は候補から抜け落ちる

AIに条件を伝えて企業名を挙げてもらう場合、どの企業が候補に入るかは、多くの場合AIの側が決めています。インターネット上の情報が多い有名企業は挙がりやすい一方で、BtoB企業や地方の優良企業など、学生向けの情報が少ない企業は候補に入りにくいと考えられます。

AIが挙げた企業だけで就活を進めると、自分に合う企業に出会う機会を狭めてしまうかもしれません。就職情報サイトや合同説明会、大学のキャリアセンターなど、AI以外の探し方も組み合わせましょう。

AIの回答を確かめるための情報源

AIの回答で気になった点は、企業自身や公的な仕組みが出している情報で確かめます。企業研究で大切な情報は、次の情報源で確認できます。

企業の公式サイト・採用サイト

事業内容、社名、グループ構成、募集職種、初任給などの基本情報は、企業自身が発信している公式サイトと採用サイトで確認します。採用サイトには社員インタビューや仕事内容の紹介が載っていることも多く、AIの要約よりも具体的に仕事のイメージをつかめます。年度の表示があるページは、最新年度のものかどうかもあわせて確かめましょう。

有価証券報告書

上場企業であれば、金融庁の電子開示システム「EDINET」で有価証券報告書を無料で閲覧できます。事業の内容や売上高、従業員数、平均年齢、平均勤続年数、平均年間給与などが記載されており、AIが示した数字が正しいかを確かめるのに役立ちます。

若者雇用促進法に基づく職場情報

新卒者を募集する企業には、過去3年間の新卒採用者数と離職者数、平均勤続年数、月平均の所定外労働時間、有給休暇の平均取得日数などの職場情報を提供する仕組みがあります。就職情報サイトやハローワークの求人に掲載されていることが多く、働き方や定着率に関するAIの説明は、この情報で裏付けを取りましょう。

説明会や社員との対話

社風や職場の雰囲気は、AIの回答や口コミでは判断しにくい部分です。会社説明会やインターンシップ、OB・OG訪問で社員と直接話すと、文章だけでは分からない働く人の様子をつかめます。AIの説明で気になった点は、説明会の質問として持っていくと、自分の言葉で確かめる機会になります。

AIを企業研究に上手に使う進め方

AIを使うこと自体は、企業研究の効率を上げる有効な方法です。落とし穴を避けながら使うために、次の手順で進めましょう。

手順1. 候補探しは条件を変えて何度か聞く

企業名を挙げてもらうときは、1回の回答で終わらせず、業界や勤務地、企業規模などの条件を変えて何度か聞きます。「BtoB企業に絞って」「地方に本社がある企業も含めて」のように頼むと、有名企業以外の候補も出てきやすくなります。

手順2. 数字と事業内容は一次情報で確かめる

AIが挙げた企業のうち気になるものは、必ず公式サイトや採用サイト、有価証券報告書で事業内容と主な数字を確かめます。AIに「この情報の出典はどこですか」と聞き、示されたページを自分で開いて読むのも有効です。出典が示されない情報は、確認が取れるまで判断材料にしないようにしましょう。

手順3. AIには質問リストづくりを任せる

AIは、答えを出させるよりも、調べるべきことを整理させる使い方に向いています。「この業界の企業を比べるとき、確認すべき点を挙げてください」「説明会で社員に聞くとよい質問を考えてください」と頼めば、企業研究の抜け漏れを減らせます。

手順4. 応募するかどうかは自分で決める

最終的に応募するか、選考を続けるかは、確かめた情報と、説明会や面接で感じたことをもとに自分で判断します。AIの評価が低かったという理由だけで企業を候補から外さないようにしましょう。

AIを使った企業研究に関するよくある質問

AIで企業研究を進めるときに、迷いやすい点をまとめました。

Q. AIが「離職率が高い」「評判が悪い」と答えた企業は避けるべき?

AIがどの情報をもとにそう答えたのかが分からない限り、そのまま信じるのは危険です。口コミサイトの一部の投稿や古い情報をもとにしている可能性があります。離職の状況は、若者雇用促進法に基づく職場情報で新卒採用者数と離職者数を確認するなど、数字で確かめましょう。

Q. AIで調べた企業情報をESや面接で使ってもいい?

確かめていない情報をESや面接で使うと、誤った内容を伝えてしまうおそれがあります。事業内容や数字を志望動機に書く場合は、必ず公式サイトなどで確認した情報を使いましょう。企業の担当者は自社の情報をよく知っているため、誤りがあると企業研究が不十分だという印象を与えてしまいます。

Q. 非上場企業の数字はどうやって確かめる?

非上場企業には有価証券報告書の提出義務がないため、売上や従業員数は企業の公式サイトの会社概要や採用サイトで確認するのが基本です。東洋経済新報社の「就職四季報」には、非上場企業を含む多くの企業の採用人数や離職者数などが掲載されており、大学のキャリアセンターや図書館で閲覧できることもあります。それでも分からない数字は、説明会や面接の逆質問で確かめましょう。

Q. Google検索のAI要約も同じように注意が必要?

検索結果の上部に表示されるAIによる要約も、生成AIが作った文章である点は同じです。要約の下に示されているリンク先を開き、元の情報を確認する習慣をつけましょう。

AIは企業との出会いの入口として使い、判断は一次情報で

ChatGPTなどの生成AIは、新しい企業と出会う入口として便利な一方で、社名や数字の取り違え、古い情報、1回の回答だけでの比較といった落とし穴があります。AIが挙げない企業が候補から抜け落ちることにも注意が必要です。

企業研究では、AIを候補探しや質問リストづくりに使い、事業内容や待遇は公式サイトや有価証券報告書、職場情報で確かめましょう。まずは、AIの回答をきっかけに候補から外した企業があれば、その企業の採用サイトを一度開いて、AIの説明が正しかったかを確かめてみてください。

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就活写真.com編集部

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